明治大学博物館について
ご挨拶
1980年代、大学を成人教育の場として開放する機運が高まりを見せ、やがて明治大学においても盛んに公開講座が開催されるようになりました。その後、リバティアカデミーが設立され、2004年に生涯教育棟としてオープンした新校舎アカデミーコモンに、刑事・商品・考古学の3博物館を統合して明治大学博物館が新規開館しました。
旧3博物館による収蔵品の公開は、この大学開放の流れを先取りするもので、1950年代にまで遡ることができます。本学は明治法律学校を前身とし、広く社会を教育の対象としてきました。すなわち、「社会に開かれた大学」という精神は、本学の伝統と言えるものです。 「教育」と「研究」の2つが大学の基本的機能であることはいうまでもありません。加えて、現在では、とみに「社会貢献」の機能が強調されております。大学の研究成果が多種多様な形式で社会に発信されている中にあって、博物館もその媒体の一つとなっています。
学界というごく限られた人々を対象とする研究論文や専門書という媒体ではなく、すべての人々がアクセスできる、大学による社会貢献の可視化を実現・実践する場が、まさに博物館なのです。昨年度は11万人を超える多くの方々にご来場いただきました。博物館の開放・公開の特長は、何よりもまず、老若男女を問わず誰もが、事前の予約なしに、自由に出入りし、先人の知恵に学ぶことができる点にあります。博物館は、社会に開かれた窓口でなければなりません。
我が国の大学は、これまでにも多くの教育・研究資源の蓄積を企図してきました。それだけに、そうした貴重な資源を大学内の奥深くに眠らせる状態に置いてしまい、知らぬまに紛失・滅失してしまうことは、大きな社会的損失であり、回避すべき事態です。その対策を講じるべく、管理を万全としつつ、積極的に公開に努めることは、大学が設置する博物館の重要な責務であるといえます。こうした意味からも、本学の博物館が担う「社会貢献」の重要性は増す一方であり、引き続き、ご来館いただいた皆様のご意見に真摯に耳を傾け、われわれ教職員一同、当館の振興に一層努めてまいる所存です。
博物館を訪れると、そこには先人の息吹と共に「かつての日常」を垣間見ることができます。目下のコロナ禍で構築されようとしている生活変容の様相がどのようなものであれ、当館には、これまでどおり開放・公開を旨とする社会的使命を遂行する責務があります。ご来館を通じて、皆様に「新たな日常」の一コマとして好奇心あふれる安らぎの場を提供できますれば幸いです。現在、感染症の一日も早い収束のため、やむなく開館を見合わせておりますが、再開の折には、多くの皆様にご来館いただけるよう心よりお待ち申し上げております。
2020年4月
博物館長 千葉 修身
(ちばおさみ/明治大学商学部教授)
明治大学博物館の理念・目標
明治大学博物館の理念・目標
『明治大学博物館は,建学の精神である「権利自由」「独立自治」にもとづき,博物館としての学術研究の成果を公開し,みなさんの学習に供することを目的としています。
私たちの博物館には3つの部門があり,それぞれ異なる由来をもっています。商品部門は「商品博物館」を前身として商品を通した生活文化のあり方を,刑事部門は「刑事博物館」を前身として法と人権を考えます。考古部門は「考古学博物館」を前身とし,人類の過去と多様性を取り上げています。
21世紀を生きる私たちは様々な問題を抱えています。それらを克服していくためのヒントを,私たちの博物館を通じて見つけていただければ幸いです。』